[20091114]
早稲田祭が終了した次の朝はさわやかだ、というネタは毎年繰り返しているけど、今年も書きたくなった。いや、書くことに使命感をいだきはじめた。自信をもって言えないけれど、おそらく今年から清掃のタイミングが変わったのだろう。昨年までは早稲田祭終了後の月曜日の朝は、あれだけのお祭りがあったことが想像できないくらい構内がきれいだった。今年は、月曜日の朝にもスタッフの学生たちが構内の清掃を続けていた。もう十分に通常の状態に戻っているように見えたのに、舗装路を水洗いしている姿が非常に印象的だった。

ゴミの始末などの後片付けをずるけない、というのは一つの★才能★だと思う。それは、人の目にとどかないところでも裏方の仕事をしっかりすることができる★才能★の派生型だ。若いうちにこの★才能★を身につけ、そういう作業を気負わずに自然体でできるようになった学生は幸せだ。

今年も、教員としての協力を依頼していただいたのに、多忙を理由にして(ほんとだけど)お断りしてしまった。ゴメン。暇になるであろう来年も、きっと出演は断るだろう。授業以外で目立ちたくない、というのがいちばん強い理由です。でも、その分、来年も必ずブログでスタッフのすばらしい仕事ぶりを紹介するので、許してください。

これまた、何度も書いてきたことだけど、繰り返そう。学生がおとなしくなったと嘆く先生方もいらっしゃるが、僕はそう見ない。むしろ非常に責任感の強い学生がいるように見受けられる。もちろん、これはすべての学生がそうだという意味ではないし、そのような傾向が出てきたということでもない。無責任でジコチューでオレオレ主義の学生も確実に増えている。あえて言えば、両極化現象かもしれない。そうなると、非常に責任感の強い比較的少数の若者が、大勢の白寝くんや別荷さんが乗っている荷車を引っぱるというのが、十年後の日本なのかな?

某都市での仕事のために、新幹線の車中にいる。先はまだまだ長いので、新幹線内からブログの記事のアップに挑戦してみよう。
[20091018]
来年の秋まで、自分の仕事のことはできるだけ書かないほうが無難だと思わせるようなことが二三あったので、このブログも一年間くらい凍結するつもりだった。しかも、書く時間ないし。でも、このブログを読んでいるという学生の声が耳に入ったので(一人だけだけど…)、一月に一回くらいは更新しようかな。入力仕事をしている時にヘッドフォンを通じて脳内に流れる音のことならば、まあ問題は起こらないだろう。起こんない/怒んないでほしいな………。そうだ、最近の脳内ヘビロテを書こう。

高橋悠治によるクセナキスとメシアンのピアノ作品集。僕がクラッシックを好きになったのは、たぶん高校に入ってからことだったと記憶するが、高橋悠治の『バッハ・リサイタル』というLPを聞いたのがきっかけだった(はず)。そのころはもうグールドの『ゴルトベルク変奏曲』は出ていたが、僕は悠治のLPのほうが断然好きだった。このLPではパルティータ6番がメインディッシュになっている。その後、引っ越しを重ねるごとにLPはじょじょに消え、『バッハ・リサイタル』も今は手元にない。悠治はその後、Denonでバルティータ全曲を録音したけど、やっぱり『バッハ・リサイタル』の記憶があって、Denon版はほとんど聞かない。ところが、『バッハ・リサイタル』をCD化しようという企画があるらしいのだ。皆さんもこの方面の音楽に興味があれば、http://www.sonymusicshop.jp/detail.asp?goods=DYCC000000115 に飛んでいって、「予約」をワンクリックしてください。あれっ、こんな文もあぶないかも。悠治のクセナキスは部分的にyoutubeで見ることができる。
参考動画:http://www.youtube.com/watch?v=fKu4MJNbsfI

バッハのパルティータと言えば、ECMから出たAndrás Schiffによる再録が強烈にいい。もちろん悠治とは異なる。構造よりも音色に重点が置かれている。悠治が思想していたとすれば、Schiffは快感主義者だ。Schiffがベートーベンの最後のピアノソナタを解説している動画も、悠治に劣らぬたくまざるイヤミがたっぷりで楽しい。
参考動画:http://www.youtube.com/watch?v=wk-iqxqixhY

マイルスは今でも聞けるけど、コルトレーンは青春時代の生臭い記憶が付着していて一生聴きたくない、と思っていたのに、たまたま"Coltrane at Newport"というCDに遭遇してしまった。すごくいい!!! 一曲目のI Want to Talk About Youは爆涙。
参考動画:http://www.youtube.com/watch?v=FR9ixWP-P9I

夏休み中に録画しておいたCrossroad 2007を観た。どうせClapton祭だろうと思い、録画しておいてClaptonの部分を早送りすればいいや、と思っていたのだが、Tal Wilkenfeld with Jeff Beckだけでなく、John MayerとDerek Trucksまで出演していたことを知らなかった!!! この二人はJohn Frusciante(Red Hot Chili Peppers)とならんで、Rolling Stones誌のThe New Guitar Godsの三人として紹介されている。JMがホット、DTがクール、でまったく対照的。DVD版はBS版より増量されていて、買いだ。ところで、DTの The WeightやJMのwait until tomorrowの演奏を聴いていると、懐メロはリバイバル・バンドがやんないほうがいいということが分かる(JBは別)。
参考動画:http://www.youtube.com/watch?v=XV7OAWs2Q30&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=et_4zxne_OE&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=v3zz49EOmDs
[20091004]
後期の授業が開始して一週間がすぎた。毎回の講義にしっかり出席し、それなりに頭が良くなって帰ってもらうために、my remarksという方法を数年前から使っている。講義内容等に対する感想・意見・批判・補足などを、コースナビという学習管理システムを使って提出させる。これを積算することで平常点を算出することもできるし、いいものを次回の授業の冒頭で数点紹介することで、出席者たちが前回の授業を復習できる。

僕の講義のように得体の知れない授業でも、毎年それなりに履修者が漸増している。その結果、毎週読まなければならないmy remarksも漸増し、授業の後始末のための時間も漸増し、授業の準備のための時間が漸減する。これを避けるために、今年は、多くの履修者が見込まれる講義を意図的に朝一番に置くことにした。前期(「複合文化学特論」)は学部内の講義だったので、この時間設定にはそれなりの効果があったようだが、後期(「身体表象論」)は、履修者数が今まででいちばん多くなってしまった。今までは夕方にセッティングしていたのだが、アサイチのほうがいいのかな?

余った履修可能単位数を活用するため、あるいは時間割の穴を埋めるために(アサイチで?)、ひとまずこの科目でも登録しておくか、というノリの学生もいるだろう、と高をくくっていたのだが、出席カードを数えたところ、ほぼ200人の学生が出席していた。my remarksを提出した学生数は173人だった。しかもその内容のレベルも高い。驚いた。

それらを全部読み、採りあげるに値するものをそこから数点選び、パワーポイントに流し込み、さらに数点にコメントを付けてホームページにアップロードする作業があと15回も続くと思うと、げっそりする。でも、インチキくさいのがないのが大きな救いだ。必修科目でもないのに、朝一番の授業をあえて履修する学生は、それなりに学習意欲が高いのだろう。朝がいいんだ。きっと。

でも、リピーターや、僕の他の授業をとっている学生の顔が視界に入ると、微妙に脳波が乱れる。「去年と同じじゃん」。「あっ、それ、月曜日の講義でも言ってた」みたいな非難の眼差しを感じてしまうのは、被害妄想? 内容はいちおう微改善してるんだけど……。初回のガイダンスではタームの説明が中心になるから、内容がかぶることも多いので許して……、と心のなかで、いちおうつぶやいておく。というのも、リピーターや、僕の他の授業をとっている学生はかなり優秀だからだ。

ぐったり疲れたときは、『シューテム・アップ』を愛用していたが、『スピード・レーサー』を発見した。ものすごく単純なストーリーが、ものすごくベタなCGによって、これでもかというギトギトの色彩のなかで繰り広げられる。眼から入ってくる画像とストーリーに、ものすごく単純に反応して、脳内のコンフィギュレーションが変質するのが実感される。「いいぞっ!」とか言っちゃう。バカみたい。
[20090828]
八月で夏休みは終わり。そして地獄の季節が始まる。って、内輪受けだな。

今年は夏休みが★あった★。というのは、ゼミのレポートの添削が去年に比べて楽になったからだ。一年生のレポートは去年と同じくらい面倒だった。でも、F先生との合同ゼミに提出されたゼミ論は、全部が全部というわけではないが、読み手の脳波をかく乱させるような文章が★少なかった★。

ドイツの週刊新聞"DIE ZEIT"のオンライン版に、「赤鉛筆の苦痛」というタイトルで、ある大学教授のエッセイが掲載されていた。ドイツの大学教授にとっては、ゼミ論の添削がもっとも「苦痛」だ、という趣旨の内容だ。僕が知る限り、ドイツの大学ではゼミ論は添削して返却されるのが普通だ。

ドイツの大学「では」と書いてしまったが、今では日本の大学でもそうなっているはずだ。少なくとも、いっしょにゼミを運営しているF先生はゼミ論を非常に、いや異常なまでに丁寧に添削して返却している。僕もF先生の水準にまで達しないが、それなりに赤を入れている★つもり★だ。前期は全部でゼミが三つあるので、僕にとっても「赤鉛筆」はまあ「苦痛」だった。

いい加減に書いたことが明らかな、やっつけ仕事であることが明らかなレポートを、いわば入魂で書いたレポートと同じような濃度で添削するのが「苦痛」だ。

八月の中旬から二週間ばかり授けられた夏休みを使って、久しぶりに論文と自称くらいしても許されるだろう雑文を書いている。「苦痛」を帳消しにして余りが出てくるくらいの快感だ。

来年の今ごろがほんとうに楽しみ。
[20090510]
数年前から、前期はゼミが三つという時間割になっている。年を追うごとにレベルが上がっているので、肉体労働が報われる感じで、思いのほかきつくない。

fukuda先生といっしょに担当している「合同ゼミ」は、履修者が三年生と四年生だから、他の二つのゼミに比べて当然のことながら高いレベルが期待される。今年から、新学科である複合文化学科の三年生と、今年で発展的に解消される学際コースの四年生の「合同」になり、少し不安だったが、杞憂に終わりそうだ。四年生のレベルが非常に高い。例年そうなのだが、四年生は自分たちが三年生に対して上級生であることを自覚しているのだろう。自分たちが昨年、上級生から継承してきたさまざまなスキルをさらに磨いて、それを三年生に意識的に渡しているようなのだ。すごい!!! いやスキルばかりではなく、責任感や協調心のようないわゆる「人間力」と呼ばれるものも、これみよがしではなく、ごくごく自然体で伝えることができている。なんか、教師はいらないみたい。いや、教師よりすごいぞ。人間的に…。

「テーマカレッジ」はシラバスにかなり厳しい参加の心得を書き、単位取得を目的としていないリピーターにも厳しい条件を課した。それにもかかわらず、いや、だからこそ、レベルがこれまた非常に高い。学生の発表はまだ二回目なのに、発言を求める学生(その大部分が一年生!!!)が多すぎて、整理に困るくらいだ。発言の仕方はまだたどたどしいが、練習を積み場数を踏めば絶対にものになるということを予感させてくれる。また、リピーターたちは、テクストや議論の内容に鋭いコメントを加えることができるにもかかわらず、そのような発言は新しい参加者にできる限りゆだね、自分たちは、混乱した議論を整理する発言に専念しているように見える。彼らはリピーターだから、当然のことながら、新しい参加者に対してアドバンテージがあるのだが、そのアドバンテージを新しい参加者へのサポートに振り向けているわけだ。この「教育的配慮」もまたごくごく自然体で、見ていて気持ちがいい。これは、彼らリピーターの能力も伸ばすはずだ。

複合文化学科の「テーマ演習」は、一年生向けの必修科目という二重苦を背負っていることもあり、上記の二つのゼミに比べると、温度は低めだ。温度は、「掲示板」の書き込みにそのまま反映している。それでも、今まで二回あった学生の発表はかなりのレベルに達している。フロアーからの発言が少ないのが残念だ。そう言えば、このゼミだけはまだ懇親会をしていなかった。それが原因かもしれない。このゼミの目標の一つは脱プライド王子/脱プライド王女だが、やはり気心が知れない他人に対しては構えてしまい、「バカと思われないようにしよう」と考え、発言をひかえてしまうのかもしれない。でも、うれしい驚きもあった。昨日、発表の相談に来た二人の学生は、Windows Messengerを使ってチャットをしながら、プレゼン用の画像を相互にチェックしたり、暫定版のワードファイルを改良しあうという作業をしていたらしい。チャットができるくらいだから、タッチタイプは二人とも自信があるようだ。もっぱらケータイでデジタル生活をしている学生には、メールは出せるが、キーボードは駄目という学生が多い。この二人が例外でないことを願っている。二人のプレゼンが非常に楽しみだ。
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Author:神尾達之
早稲田大学教育学部複合文化学科に勤務しています。授業等に関する情報は別にホームページを用意しています。下記のリンク「神尾達之 研究室」をクリックしてください。このブログでは、事実上「研究室」ではなく「仕事室」となってしまっている空間に棲息するヒトが放つため息を、貼り付けていこうと思います。なお、更新は不定期です。

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